弁護士のマウント

第413号 弁護士のマウント

マウントとは、猿が他の猿の背中に乗って自分の方が立場が上だと示す行為です。

猿は身体を使ってマウントしますが人間は言葉でマウントするのです。例えばパナソニックの食洗器を買ったという話題が出たとします。「うちのはミーレだから、大きくて場所ふさぎで困ってしまう」と言うのがマウントです。このくらいで終われば良いのですがマウント合戦はどんどんエスカレートしていく。「うちには食洗器はないの。食器はエルメスやバカラばかりだから、手洗いしなくちゃいけなくて大変」とくれば、「素敵な食器で羨ましいわ。うちには魯山人や河合寛次郎みたいな普段使いしか無いから、食洗器で洗っちゃってるの」とさらにマウントを取るといった具合です。99.9%有罪となる日本の裁判で無罪を取るのは、弁護士として名誉なことです。私も以前、初めて無罪判決を出したとき、他の弁護士にさりげなく自慢したんです。そうしたら相手から、「弁護士になったばかりで無罪判決を取ったなんて本当に凄い。俺なんて、まだ3件しか無罪にしていないんだから」と、マウントを取り返されてしまいました。マウントのとり方として、単純に自慢するのは芸がないそうです。

先日ネットで、大阪女と京女のマウントの取り合いみたいなのを見ました。大阪の女性に、京都の女性のことをどう思うのか質問すると、皆さんストレートに厳しいことを言います。「これから死ぬまで一人でも多くの方に伝えていきたい。京女は悪いよって」「京女が大阪を下に見ているところが嫌い」みたいな感じですね。これを受けた京女の方たちのマウントが凄い。「被害妄想ですね。京女が日本で一番人気があると、周りの方が勝手に言って下さるだけ」から始まって、「大阪は串カツもおいしいタコ焼きもおいしい。良い文化をいっぱい持ったはるから、もっと自信もたはったら良いと思うわ」なんて感じです。大阪の文化として、文楽ではなくタコ焼きを持ってくるとは、「京のおなごはんは、ほんまに良い性格されてますわ」と、感動のあまりインチキ京都弁が出てしまいました。もっとも他人のことは言えません。こんな風に「持ち上げたようにしてマウントを取る」というのは、弁護士の世界でもあるんです。「機能的でよい事務所ですね。うちの事務所は大きいばかりで、かえっていろいろ不便で」なんて、大手事務所の方に言われたことがあります。そのころ私はまだ「マウント道」を究めていなかったので、マウントを取り返せずに、今思い返しても残念です。(アホか!) 

民事事件で私がちょっとしたミスをしたとき、相手の弁護士から「先生は企業の大きな案件ばかり扱っているから、こういう小さな民事事件をやる機会なんてそんなにないんでしょうね」みたいなことを言われたこともありました。一見フォローするような口ぶりだったんですが、敏感な私には「これはマウントだ!」とピピンと来たのです。(被害妄想じゃないか。。。) 

そのころから私も、マウント上級者を目指して勉強してきました。秀吉と家康のやり取りなど、本当に勉強になりました。秀吉から高価な茶道具などを自慢された家康が、「あいにく田舎者ですから何の自慢できるものもありません。ただ、私の為なら命が惜しくないという家臣達がいるだけです」とマウントを取り返したそうです。こういうマウント返しはなかなか深いです。

先ほどの京女の話に戻りますと、最後にこんな感じでマウントを取ってました。「大阪も東京も、京都よりずっと都会。京都は田舎ですから何にもありません。ただ、『古き良き文化』を守っているだけですわ」 これもまた参考になりますね。次回機会があれば、大手事務所の人には、こんな感じのマウント返しを計画しています。「モリハマはんやアンダーソンはんとちごうて、うちは田舎の小さな事務所。ただ、お客様の為なら命も惜しくない若手弁護士がいるだけですわ」

 

弁護士より一言

「パパと一緒にいると、得した気分!」と妻に言われて、素直に喜びました。しかし理由を聞いてみると、一人でいると年相応に見られるのに対して、私と一緒だと「旦那さんって年上なの? 奥さんはとてもお若いですね」と言って貰えるからだそうです。妻からマウントを取られた気分になったのでした。                           (2026年5月18日  文責:大山 滋郎)

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