弁護士のいろはカルタ
第212号 弁護士のいろはカルタ
新年おめでとうございます。年明けに相応しく、軽いニュースレターにします。「いろはカルタ」です。
いろはカルタには、色々な種類があるんですね。薩摩藩中興の祖、島津忠良公が、5年もの歳月をかけて作られた、いろはカルタなんて凄いです。
いにしへの 道を聞きても唱へても わが行いに せずばかひなし
なんて調子の、ありがたい教訓が並んでいくんです。み、耳が痛いと思う一方、お正月からこんなお説教を読むのは嫌なんです。ううう。。。
というわけで、子供用のいろはカルタです。「犬も歩けば 棒にあたる」みたいな感じです。もともとの意味は、犬もむやみに出歩くと棒で殴られるから、おとなしく家にいるようにということだそうです。しかし今では一般的には、外に出ると良いことがあるかもしれないから、家に閉じこもっているなという意味で使われています。こういう、「緩い」ところも、いろはかるたの魅力のように思えてしまうんです。子供用のいろはカルタにも、いくつものバージョンがあるんですね。同じ「い」でも、「一寸先は闇」とか「一を聞いて十を知る」とかあるみたいです。大阪バージョンのいろはカルタですと、「下戸の建てた蔵はない」なんて面白いものもあります。さすが商人の町だなと感心します。お金は使わないと入らないんですね。このへん、弁護士でも良く理解していない人が沢山いそうです。そんなわけで、本日は私の好きないろはカルタを紹介していきます。私の一番好きなのは、「子は三界の首枷(くびっかせ)」ですね。「三界」は輪廻転生を繰り返す、全ての世界を意味するそうです。いつになっても、親は子供の面倒を見ないといけないので、本当に大変です。子供の犯した刑事事件の後始末を、何度も何度もするご両親など、うちの事務所でも対応したことがあります。
「論より証拠」なんて、弁護士向きのカルタです。裁判でも交渉でも、証拠が必要なんですけど、そんなに簡単に用意できないのが通常です。証拠は弱くても、依頼者から「自分の言う通りで絶対間違いないんだから、しっかり主張してくれ。」なんて言われると、なかなか断りがたいところもあるのです。私なんかも、「証拠より論」みたいな活動をよくしてしまいます。
「仏の顔も三度」なんてありますが、考えてみますと、3回までは許してもらえるんですね。電車内での痴漢事件なんか、少し昔はかなり処罰も軽かったですね。3回くらい罰金刑になったなんて人もいました。それに比べると、いまは相当厳しくなっています。1回目で罰金刑。2回目で正式裁判で、執行猶予付きの判決。3回目で刑務所に行くことになるのが普通です。時代に合わせていろはカルタも、「仏の顔も二度」に変更したほうが良いのかもしれません。(あ、アホか!)
「骨折り損の くたびれ儲け」というのは、どんな仕事でもいえることなんでしょうね。弁護士の仕事でも、沢山の事例を調査して、多くの資料を集めて、実際に使うのはほんの一部です。骨折りを惜しむ人には、ろくな仕事ができないと、自分に言い聞かせます。
「閻魔の色事」なんて、面白いですね。閻魔大王のように謹厳実直そうな人でも、男女の関係は別物ということでしょう。こちらも、時代の流れにあわせて、「政治家の色事」とか「弁護士の不倫」みたいな形に変わっていくのかもしれません。(そんな馬鹿な。。。)
今年の正月は、久しぶりに子供といろはカルタで遊びたいと思います。本年もよろしくお願い致します!
弁護士より一言
新年早々、高校生の娘が、1年間の海外留学に出発します。行く前から、すっかり外国かぶれになってます。先日、食事のときに笑って吹き出してしまったんですね。すると、すかさず娘が、「パパ、汚い!日本ならともかく、外国なら許されないよ。」なんて生意気なことを言います。外国ならどうなるのかと聞いたところ、「パパは、ダーティー ジローって呼ばれちゃうんだよ!」とのことでした。おまえは、ルー大柴か! 娘が戻るのを待つあいだ、クリーン ジローと呼ばれるように頑張っていきたいと思うのでした。
(2018年1月1日発行 大山滋郎)