アーサー王宮廷の弁護士

第220号 アーサー王宮廷の弁護士

 

GWで誰もいないでしょうから、自由気ままに、好きな本をもとに、くだらない話を書いてきます。

「アーサー王宮廷のヤンキー」は、マーク・トウェイン(あの、「トム・ソーヤの冒険」や「王子と乞食」の作者ですね。)が今から200年位前に書いた本です。今から1500年も前の、アーサー王の時代にタイムスリップした、当時のアメリカ人(ヤンキー)が、最新の科学知識を使って大活躍する話です。「いま流行りの異世界ものライトノベルかよ!」と、思わず突っ込みを入れたくなる設定ですが、とても面白い本です。アーサー王は、6世紀に活躍したとされる、イングランドの伝説の王です。聖剣エクスカリバーを岩から抜いて王となり、魔術師マーリーン、湖畔の騎士ランスロット達と、理想の国キャメロットを作ろうとした、「王の中の王」です。その王を助けたヤンキーは、1300年ほど未来からやって来たんですが、ちゃんとした教育を受けた人ではないんですね。鍛冶屋の父親のもとで修業したのち、兵器工場で銃などを作っていた人です。ところがこのヤンキー、ありとあらゆる知識を有しているんです。

異世界であるアーサーのもとにやって来てすぐに、日蝕が訪れることを予言して、皆の度肝を抜きます。ど、どうしたらそんなこと分かるんだよ! もともと工場で銃を作っていたので、アーサー王のもとでも銃を作ったのは、まあ良しとしましょう。しかし、さらに電気を作り、道路を整備し、新聞も発行し、郵便や学校の制度まで作り上げるんです。現代日本のライトノベル並みのご都合主義で、感動さえしちゃいます。さらに私が感心したのは、ヤンキーの行う経済政策なんです。緊縮、縮小の経済政策と言いましょうか、賃金も下がるが、物価も下がる経済を良しとするんですね。ところがアーサー王の時代の人達は、賃金が上がらないと言って文句を言う。これに対してヤンキーは、「文明の知識がない人達は、経済の初歩が分からず困ったものだ。」と考えるんです。

でも、ヤンキーの目指した、賃金も物価も上がるどころか下がっていくというのは、まさにここ20年ほどの日本の経済です。マーク・トウェインの頃の常識では、それが良かったのでしょうか? そうしますと、あと200年も経つと、今の経済状況が日本経済のピークだったなんて言われているかもしれません。

ということで本題です。もし、アーサー王宮殿に行ったのが、現代日本の弁護士だったら、何が出来たのを考えてみます。まず、弁護士本来の仕事は、当然のことですができません。アーサー王のところには、整備された法律も裁判制度もありませんから。大体裁判なんて、弁護士一人じゃどうにもなりません。ある町に弁護士が一人しかいないときには、暇でしょうがなかったが、弁護士がもう一人来たら、裁判ができるようになって忙しくなったなんて笑い話もあります。

ということで、本来の業務以外に何ができるかを考えないといけませんが、科学系は何もできませんね。日蝕の予言なんて絶対できませんし、銃も電気も作れません。それなら社会制度を作ることが出来るかというと、これも非常に心もとない。そもそも、日本の弁護士は、自分たちで制度を作ろうという気はほとんどないんですね。今ある制度を前提にして、その「改悪」に反対するというのが、現代日本の弁護士の「お家芸」なんです。その他に、弁護士が出来そうなことと言えば、「人権活動」でしょうか。しかし、「騎士道」の国で、「人権。人権。」と言っても、浮いてしまいそうです。最後に残るのは、憲法9条ですね! 日本国憲法の精神を広めて、キャメロットを非武装国家にしようなんて言ったら、騎士たちもびっくりしそうです。異世界に行っても通用する技能を持ちたいものです。

弁護士より一言

アーサー王宮廷では、誰も肥満で悩んでいないんですね。肥満は本当に現代病です。実は友人が通販で「やせ過ぎますので、取り扱いに注意してください。」なんて飲料を買っていたんです。「そんな変なもの飲んで、身体を壊さない?」と私が心配すると、「もう何本も飲んでるから大丈夫!」とのことでした。

な、何だよ。効き目ないじゃん!

でも、私も少し飲ませてもらおうと思ったのでした。(2018年5月1日発行 大山滋郎)

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