弁護士の令和

第244号  弁護士の令和

新天皇が即位され、元号も変わりました。大変おめでたいし、10連休のど真ん中で、どうせ皆さんお休みですから、好き勝手に雑談しちゃいます。元号についてです。もともと元号は、中国から来た制度ですよね。元号の候補を考え出すのは、かなり大変なんです。もっともらしい字でなければいけないのは当然ですが、さらには古典からとってこないといけないという、制約があります。それに加えて、一度使われた元号は使えないという決まりまであります。過去の中国では、五代十国時代とか五胡十六国時代とか、小さい国が沢山できたうえに、元号を毎年変えていたなんてこともありました。しっかり調べないと、実はその元号は過去に使われていたことが後から判明したなんてことも起こりえます。そんな大変な思いで作られた令和という元号、私はとても良いと感じました。令は、令嬢や令息の「令」です。和は調和の「和」です。シンプルだけど、厳かな感じもします。でも、世の中には何でもケチを付けないと気が済まない人がいます。令和が発表される前には、安倍首相が自分の名前からとって「安」を元号に入れるだろうなんて、面白おかしく言われてましたよね。しかし、蓋を開けてみるとそんなことはなく、「令和」という元号でした。これならさすがにケチのつけようがないかなと思っていたら、世の中そんなに甘くない! ある大学の先生がケチをつけていました。令和の「令」は命令の「令」だから、国が愚民に命令しようとする元号でけしからんとか、令和の「令」は巧言令色の令で、「うわべだけ飾る」の意味だから駄目なんだそうです。よくもそんなケチを思いついたなと、聞いていて、思わず感動したのです。豊臣家がお寺に寄贈した鐘に刻まれた銘文の一部、「国家安康 君臣豊楽」に、徳川家康がケチをつけたという話を思い出しちゃいました。「家康を切り離すと、豊臣が栄える」とは何事かという、イチャモンです。当時も、家康に入れ知恵した学者が考えたんでしょうが、今の学者も決して負けていないです!

 

しかし考えてみますと、弁護士も言葉で勝負する職業です。仮に家康みたいな人から、「令和」の問題点を探せと命じられたら、考え出さない訳には行きませんね。そこで私も考えちゃいました。例えば、令和の「令」は「零」に通じるなんてどうでしょう? 「和」は合計することを意味しますから、零和なら「足してゼロ」「ゼロサム」ということになりそうです。この元号は、発展しない、停滞するという意味だというイチャモンですね。さらに考えますと、令和の「和」が昭和の「和」と重なる点にも、ケチを付けられそうです。「昭和は良かった。」と、前の時代を懐かしむ、後ろ向きの元号だという悪口です。書いていて自分でもおかしくなってきましたが、弁護士の仕事の中には、こういう言葉尻を捕らえて、攻撃するようなのもあります。

 

一方、弁護士は、弁護するのも仕事です。例えば、「国家安康 君臣豊楽」についてでしたら、「家康公は安泰で、豊臣はひっくり返って臣下となる」という意味なんだと、強弁しちゃいます! 実際問題として、契約文言の紛争では、こんな感じの「文言解釈」をよくしているんです。令和について弁護しますと、これは「平和」を願い続ける思いが込められているのです。昭和の「和」に平成の「平」で、「平和」への思いを明らかにしたのが「平成」の元号です。今回もう一度「和」の字を元号に使い、平成を引継ぎ、平和への決意を新たにしたと考えるべきでしょう。令和を平和な世にするため、少しでも貢献できたらと思うのです。

 

弁護士より一言

生まれの子供たちも、そのうち令和生まれの新世代から、旧時代のおじさんおばさん扱いされるだろうと思うと感無量です。地球温暖化など問題山積の時代に、昔を懐かしんで、私も一句詠んでみます!
「雪もなし 昭和は遠く なりにけり」

 (2019年5月8日 大山 滋郎)

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