弁護士のドント エクスプレイン

第257号  弁護士のドント エクスプレイン

Don’t Explain は、ビリー・ホリデーの名曲です。直訳すると、「説明するな」ですが、一般には「言い訳はしないで」みたいに訳されています。シャツについていた口紅から、旦那さんの浮気を確信したときに作られた歌だそうです。「言い訳はしないで ずっと一緒だよと言って 帰って来てくれて嬉しいわ」なんて、泣かせるセリフから始まります。私が仮に浮気しても(し、しないですよ!)「こんな風に妻に言ってもらえたら嬉しいな」、なんて一瞬思ってしまいます。しかし、歌はまだまだ続きます。「黙って! 言い訳なんて必要ない 口紅の話はもういいの」くらいなら良いんですが、「あなたの浮気は知っている 良いも悪いも関係ない 一緒に居てさえくれるなら」と、だんだん怖くなってきます。

 

さらに、「あなたは私の喜び そして苦しみ 私の命はあなたのもの」と続くに至り、「本当に反省しています。何でもしますから、命だけは。。。」と言いたくなりそうです。なんだかDon’t Explainの悪口みたいになりましたが、私は本当に、ビリー・ホリデーの大ファンなんです!

 

弁護士の仕事をしていますと、「説明」と「言い訳」は、本当に似ているなと思うのです。たとえば、刑事裁判の法廷で、被告人が検事さんから、「なぜこんな犯罪をしてしまったのか?」なんて聞かれることはよくあります。こういう質問に対して、被告人が説明しようとすると、「言い訳」に聞こえてしまうのです。「家庭内での妻子との軋轢、会社での上司の不当な叱責で、精神的に追い詰められていたのが原因だと考えます。」みたいな回答をしてしまうんですね。でもこれって、普通に聞けば「俺が悪いんじゃない。環境のせいだ!」と聞こえてしまいます。第三者の意見ならともかく、本人がこんなことを言えば、「他人事のように考えており、全く反省していない。」と、検察官のお叱りが来るのは目に見えています。

 

もっと凄い事例もあります。裁判官から、「二度と犯罪はしないと約束できるんですよね?」と聞かれた被告人です。「絶対にやらないとは言えないと思います。」と述べてから、その理由を「説明」しました。「これまでも、もう二度としないと誓ってきましたが、時々の状況により、犯罪に手を染めました。そこから判断すると、二度としないとは言えないと考えます。」

や、止めてください! ある意味、正直な「説明」かもしれません。でも、法廷で話して欲しいの、「客観的説明」ではなく、「二度としないという覚悟」なんです。「弁護人は何をしているんだよ。」という、裁判官の視線が痛かったのです。ううう。。。 しかし考えてみますと、他人からは白い目で見られるような「説明」をしてしまうことは、専門家の場合、結構ありそうです。私も、医師から家族の治療について「説明」を受けると、「これって、言い訳では? 何かあったときの責任逃れじゃないの。」と思うことがありました。素人が欲しいのは専門的な説明ではなく、信頼できる医師からの安心なんですね。「先生のお母様やお子様が、同じ状況になったときに、先生ならどうするのかを教えてください。」ということなんです。こういった質問に、真正面から答えてくれるのが、良い医師なのだと思います。素人が理解できない「説明」ばかりするのは、何かあったときの責任逃れの「言い訳」を準備しているのではと、疑ってしまうのです。

 

弁護士の場合も、全く同じことがいえます。「弁護士先生の説明は、回りくどくて、何を言っているのか分からない。」なんて批判を、何度も聞いたことが有ります。「自分の家族にならこうします!」と、自信を持ってお客様に提案できる弁護士になりたいのです。

 

弁護士より一言

先日、息子の中学が、インフルエンザで学級閉鎖になったんです。めちゃくちゃ喜んでいる息子に、大学生のお姉ちゃんが、「何でそこまで嬉しいの?」と、説明を求めたんですね。「だって学級閉鎖なんだよ!あ~生きててよかった! 学校に行かないで済む日が来るなんて!」と説明した弟に、姉は冷たく一言。「バカみたい(笑) 死んでたらそもそも学校行かないでいいから。」 息子にはいま一度、「余計なことは、ドント エクスプレイン!」と教えます。。。

                                        (2019年11月18日 大山滋郎)

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