弁護士の三択

第322号 弁護士の三択

3つの選択肢から、何を選ぶかという話、よくありますよね。泉に落としたのは、金の斧か、銀の斧か、鉄斧かと聞かれるとみたいな話です。

この話は、正直者かどうかが問題ですが、もっと難しい問題もあります。シェイクスピアのベニスの商人では、求婚者に金の箱、銀の箱、鉛の箱の3つから選ばせる話がありました。見た目に惑わされてはいけないそうで、鉛の箱を選ぶのが正解なんです。

しかし、シェイクスピアに逆らうようですが、弁護士家業で多くのお客さんと接していると、人はやはり見た目通りの人である場合が多いなと感じてしまいます。わ、私も気を付けます。。。 

 

三択の話に戻りますと、「お金」「信用」「勇気」の3つで、どれが大切かなんて問題もあります。こちらの「回答」ですが、ゲーテ先生によると、勇気が一番大切なんだそうです。「お金を無くすのは小さく無くすこと。信用を無くすのは大きく無くすこと。しかし、勇気を無くすのは、全てを無くすこと」だなんて、名言を残しているのです。

確かに、お金より信用が大切というは分かる気がします。商人は信用が一番の財産であり、信用さえあればお金は後から付いてくるという言葉を聞いたことがあります。確かにそんな気がしますね。しかしながら、勇気がそんなに大切なのかは何とも言えないのです。弁護士として仕事をするにあたり、どのようなお客さんが良いかというと、やはり信頼のおけるお客さんですね。お金を持っている人でも、信用できない人とは仕事をしたくないでしょう。ただ、勇気がある依頼者が良いかというと、難しいところです。臆病な依頼者の方が、無茶をしないで良い結果となる場合もありそうです。

 

そういえば、論語にも三択の話ありました。こちらは、「武力」「食料」「信頼」の3つの中から、何が一番大切かを孔子が選んだ話です。こんな問題、「植物にとって、チッソ、リン酸、カリの3つのうち、どれが一番大切か?」と同じで、選びようがないのではと、心配になります。でも、孔子大先生は果敢に選んじゃうんです。3つのうち、一番先に捨てるのは武力、次に捨てるのは食料、最後まで必要なのは信頼だそうです。「武装強盗団が来たらどうするんですか?」とか、「食べ物なければ餓死するのでは?」と聞きたくなりますが、さすが孔子大先生。ここで名言を放ちます。「古より人皆死あり。民、信無くば立たず」 「えー、死ぬのが前提ですか? 信頼無くても取り敢えず生きていたいです」と、孔子先生に怒られそうなことを考えてしまいます。

しかし、孔子のこの、「信頼」と「生命・生活」のどちらを重視するかという問題提起は、国家だけでなく、個人や家族でも問題となりそうです。結婚相手として、「金をとるか、愛を取るか」なんて、未だに議論されているようです。孔子なら間違いなく「愛を取れ」と言いそうですが、意見は割れているようです。

 

もっとも、弁護士が係わるのは、結婚ではなく離婚の方です。離婚の原因で多いのは、「浮気」「暴力」「金銭」の3つですね。どれも大問題ですが、この3つの中でまだ何とかなりそうなのは何かといいますと、ほとんどの弁護士は「浮気」を選択しそうです。暴力をふるう配偶者は論外です。直ぐに避難するように助言します。家にお金を入れないとか、賭け事でお金を浪費するなんて場合も、基本的に夫婦生活を続けるのは無理に思えます。

一方浮気の場合については、「愛や信頼が無くても、他人がお金を運んでくれると思えば我慢できませんか?」なんて、確認することもあります。孔子が弁護士なら、どんな助言をするのか気になるのです。

 

弁護士より一言

ユーチューブで、実業家が質問に答える動画があります。「成功するには、スキル、コミュニケーション力、行動力のうち、どれが一番大切でしょう?」なんていう質問がありました。妻にも同じ質問をしたら、「そんなの行動力に決まってるじゃん!」と言われたのです。ちなみにその実業家の人も、同じ答えでした。体調不良でも、病院に行くのが面倒な私は、「まずは行動しなさい」といつも怒られているのです。。。                                             (2022年8月1日 大山滋郎)

 

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