弁護士のロボット

第383号 弁護士のロボット

「ロボット」は、チェコの作家カレル・チャペックのSF劇です。前世紀初頭の作品で、「ロボット」という言葉自体、チャペックが作ったものです。現代で「ロボット」というと、機械人間みたいなものを考えますが、チャペックのロボットは、生物学的に作られたものですから、外見など全く人間と同じなんですね。人間の代わりに労働力を提供するために作られたロボットは世界中に広まっていきます。現代の先進国では、少子化が進んでいます。

だからといって、移民を入れるのも、問題が生じそうです。そう考えると、近い将来本当に労働力としてのロボットが販売されるのかもしれません。しかしチャペックの劇では、いつしかロボットたちは、人間に対して反抗して革命を起こします。今の感覚ですと、「なにそのベタな展開!」と言いたくなりますが、100年以上前の作品としては非常に画期的です。こういう劇を見ると、安易にロボットに頼るのは良くないと思ってしまいます。そうは言いましても、現在の少子化問題は何らかの手段で解決しないといけませんね。SF的に考えることで何か良い方策を見つけられるかもしれません。そういえば少し前に、直木賞作家で政党党首の人が暴言を吐いたなんて事件がありました。少子化対策をどうするかという話の中で、SF的な考えと断った上ですが、少子化問題は解決するためには、30歳を過ぎた女性の子宮を取るような抜本的な方策が必要だという発言があったんですね。多くの人に攻撃されていましたし、「趣味悪いな。。。」と私も思いました。

そもそも、SF的に考えて、何故これが少子化対策になるのかよくわかりません。確かに一般論としていえば、期限がある方が人は真剣に対応するそうです。例えばクレジットカードのポイントですが、「期限なし。永久に使えます」の場合には、安心して死ぬまで使わずに終わる人が沢山いる。逆に、「期限1年」となっていると、損してはいけないということで、みんな忘れずに使うそうです。そういうこととの類推で考えると、無理やり期限を設けることで、何とかしようという気持ちを引き出すことはあり得るかもしれません。しかしそうなら、同時に30歳を過ぎた男性の方も、生殖器を取らないと公平ではないように思えます。

というわけで、SF的に考えた少子化対策を私も検討してみます。妊娠するときに、卵子が分裂して常に一卵性双生児が生まれてくるような薬を開発するのはどうでしょうか? 無理やり飲ますのは問題ですが、「飴と鞭」ということなら、飴の方の対策として、この薬を飲んだ人が双子を生むたびに、補助金1千万円を出すというのはどうでしょう? みんながこの薬を飲めば、生まれる子どもは2倍になりますから、少子化問題は一気に解決します。ここまで行くなら、いっそうクローン技術を発展させて、人間のクローンを大量に作ることも考えられます。今世紀の作品で、「A Number」という、面白い二人芝居があります。クローンが可能になった近未来で、自分がクローンだと知った人達の、悩みや絶望を描いた作品です。亡くした息子の細胞を使って、父親がクローン人間を作ります。ところが、クローンは一人ではなく、何人も生まれていました。自分がクローンだと知った息子が、他のクローンたちを殺していくという話です。ただ、劇の最後で、自分がクローンだと知っても、まったく気にしなくて明るく生きている人が登場します。「別に何も問題ないですよね。同じクローンの人たちに会うのが楽しみだな」と軽く話します。私も仮に自分がクローンだと知っても、自分は自分ですから、大して気にしないかもしれません。チャペックの「ロボット」に戻ると、人類もロボットも滅んだ社会で、二人の「ロボット」がアダムとイブとなって人類を再生するところで終わります。でも、この二人は少子化対策をどうしたのかと、私は少し気になってしまったのでした。

 

弁護士より一言

携帯で写真をとると、関連ある写真を自動的にまとめてくれます。そんな中、妻が携帯で撮った犬や猫が「モフモフのお友達」というカテゴリーで勝手にまとめられていましたが、何故か私もそこに分類されていたのです。最近の私の毛は柔らかく、「ロボット」である携帯のAIは犬や猫の毛だと判断したのでしょう。でも、家族にまで確かに似ていると言われるのは心外です。                                                                                                (2025年2月17日   文責:大山  滋郎)

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