弁護士のワーク ライフ バランス
第402号 弁護士のワーク ライフ バランス
少し前に高市総理が、「ワーク ライフ バランスという言葉を捨てる」「働いて働いて働いて働いて参ります!」などと所信表明したことが話題になってました。
これに対して、「働き過ぎを容認する」みたいに批判する人もいましたけど、私は素直に「凄いな。健康に気を付けて頑張ってください」と思ったのです。ただそうは言いましても、生活や家族まで犠牲にして何かに夢中になるというの、あまり良くないと思うのも事実です。安倍総理を暗殺した犯人の裁判が行われていますよね。被告人の母親が熱心な統一教会信者で、家庭や子供を犠牲にしていたなんて事実が明らかにされています。「宗教ライフ バランス」を考えるべきだと思うのは私だけではないはずです。
もっとも、統一教会に限らず、宗教っていうのはこんな風にバランスを欠いてしまうものかもしれません。お釈迦様の教団に入った子供達を「救い出す」為に、親たちが王様に歎願したなんて話があったはずです。これなんか今ならさしずめ、カルト教団に入った子供を救う親の立派な活動と言われそうです。キリストも金持ちの青年に、「神の国に行きたいなら、全てを捨てて私に従え」と言いました。お金や家族といった「ライフ」を捨てられない青年が断ると、キリストは「金持ちが天国に行くのは、ラクダが針の穴を通るより難しい」と有名な決めゼリフを言います。現代社会でこんな勧誘している新興宗教は厳しく非難されちゃいそうです。宗教だけでなく、どの分野でも超一流と言われ人はワーク ライフ バランスなんて言葉は無視している気がします。オバマ大統領といった政治家や、有名な実業家も無視していたはずです。
稲盛和夫といえば日本を代表する大実業家でしたが、こんな凄いエピソードがあります。年商100億円規模の会社創業者が稲盛さんに、「そんなに仕事一辺倒でなくて、もっと人生を楽しんだ方が良くないか?」と聞いたそうです。それに対する稲盛さんの回答が凄い。「そんなことを言っているから、あなたの会社は年商100億程度しか稼げないんだ!」 ひゃ、100億稼げれば十分すぎるのでは。。。まあ、雲の上にいるような凄い人たちは「ワーク ライフ バランス」なんて気にしないで頑張ってもらって良いのでしょう。
しかし、普通の人たちに関して言うと、「ただひたすら仕事を頑張っているなんて人が優秀だった例はほとんど無いな」というのが私の正直な感想です。生活を犠牲にして仕事しても、結局は非効率なだけに思えてしまうのです。ということで、弁護士のワーク ライフ バランスです。弁護士の就職先として人気なのは何と言っても大手渉外事務所です。若くて優秀な人しか入れてもらえませんから、入れるだけでステータスになるんです。ただ、こういう事務所の仕事はかなりキツイと言われています。夜は終電後にタクシーで帰って、朝からまた事務所に出るなんてことがざらにあるんですね。こういう環境下で競争して、生き残った人だけが事務所に残れるという方式です。これなんか完全にワーク ライフ バランスを壊しています。だから家庭を持つと、大手を辞めて比較的業務量の調整が利く社内弁護士などに転身する人がいるわけです。私が勤務していた法律事務所は、オバマ大統領が働いていた米国の事務所です。このときはかなり忙しくて、終電後にタクシーで帰ることなどよくありました。これは長く勤めていられないなと思って、独立開業したわけです。
今の事務所ではワーク ライフ バランスを考えて働くようにしていますが、お客様のためならば、高市総理を見習って「働いて働いて働いて働いて参ります!」
弁護士より一言
ダイエットを始めると、ついつい頑張りすぎてしまいます。今回、一月ほどでかなり痩せたんですが、誰も何も言ってくれない。「みんな気が付かないのかな?」と娘に言ったら、教えてくれました。「みんな、怖い病気が原因かもしれないと思って、口に出せないんだと思うよ」 ほ、ホントですか。気を使わせてしまったなら済まなく思います。今後は、ダイエット ライフ バランスを考えて、減量するようにします。 (2025年12月1日 文責:大山 滋郎)





