弁護士の随想録

第190号 弁護士の随想録

 

随想録(エセー)といえば、もちろんモンテーニュ大先生のご本です。500年ほど前に書かれたものですが、今でも愛読者は沢山います。良く生き、そして良く死ぬためのヒントが詰まっている本ですね。私も、30年以上前に最初に読んだのですが、いまでも目を通します。面白い話がたくさんあるからです。

 

同じ行為をしても、それによる結果は正反対のことがあるなんて、モンテーニュは指摘しています。例えば戦争のときの話ですね。ある人の場合は、勇気を持った行動をしたことにより、相手が感心して、命を助けられました。ところが、別の場面で別の人が、やはり勇気を持った行動をとったときには、かえって相手を怒らせて、残酷な殺され方をしたなんていう話です。こういうことって、確かにあるんですね。自殺しようとして人を、思いとどまらせようとした人の話を読んだことがあります。「本気で死ぬというなら、すぐに死んでみろ!」と言ったところ、ある自殺志願者は、思いとどまったそうです。ところが違う人に対して、同じように言ったところ、本当にすぐに自殺してしまったということです。こうなってきますと、モンテーニュならずとも、どうしていいかわからなくなりそうです。

 

弁護士の仕事でも、相手方と交渉する場合、強く出た方がうまくいくのか、弱く丁寧に対応した方がうまくいくのか、本当のところはやってみないとわからないんですね。(も、もちろん、自信たっぷりに「これがベストの対応です!」と言うんですけど。。)

 

モンテーニュは、もともと裁判官をしていましたから、法律についてもいろいろと考察しています。たとえば、慣習の方が法律に優先するのだなんて議論をするんですが、そこで挙げられているエピソードがめちゃくちゃなんです。

ある男が、自分の父親を虐待し、殴ったり、引きずりまわしたりしてました。それは法律違反だと問題視されたときに、男は言ったんです。「父親も、祖父を同じように殴ってきた。私の子供もいずれ私を同じように殴るだろう。これが慣習となっているのだ!」父親の方も、おとなしく殴られていたのですが、一定のところまで来ると「私も自分の父をこれ以上は殴らなかった。これでもうやめるんだ。」と威厳?をもって言ったそうです。

こういう話って、モンテーニュ大先生、どこまで真面目に書いているのか、ユーモアのつもりで書いているのか、どうにも分からなくなってきます。

 

モンテーニュは多くの格言を残しています。例えば、「法律が信用されているのは、それが公正であるからではなく、それが法だからである。」なんて、現在でもそのまま使えそうです。「医者に直ぐかかる人ほど、病気になり易く、治るのも遅い。」なんて言うものあります。お医者様には怒られそうですが、一面の真実がありそうです。「すぐに弁護士に相談する人ほど、かえって争いごとに巻き込まれることになる。」なんて言われそうな気もしちゃいます。ううう。。。

 

「肉の味を決めるのは値段である」なんて指摘には、思わず笑ってしまいます。私も、例えばワインについて、通ぶっていろいろ講釈しますけど、本当は値段を見て評価しているだけなのです。(おいおい。)

しかしこれって、弁護士についてもいえそうです。弁護士費用が高い人ほど、優秀な弁護士だと思ってもらえるのかもしれません。合理的な費用で、とても優秀と言って貰える弁護士を目指します!

 

弁護士より一言

モンテーニュ先生を見習って、私も子供たちにユーモアをもって接しようと頑張ってきたんです。でも、中高生の娘たちには、ぼろくそに言われたんです。「パパの話って、面白くないのよね。」「東大出のお笑い芸人の話がすごくつまらなかったけど、パパのもそれと似ているよね!」こ、こいつら。でも、小学生の息子だけが、パパの話を面白いと言ってくれました。

「この間も、『子供用運賃』って言ってたよ。子供の『ウン』と『チン』が入ってるんだ。」そ、そこですか!もっとユーモア道?に研鑽いたします。(2017年2月1日発行 第191号)

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