エディプスの事実調査

第192号 エディプスの事実調査

エディプスというのは、今から2500年も前に書かれた、ギリシャ悲劇の主人公です。ギリシャの王様の子供です。フロイトが、この悲劇をもとに「エディプスコンプレクス」なんて言葉を作ったことで、一躍有名になった人です。

 

エディプスが生まれたときに、当時最高の預言者が、預言をしました。この子はいずれ、自分の父親を殺して、母親と結婚すると。王様はこれを聞いて心配になり、我が子を殺そうとします、かわいそうに思った人が、エディプスを逃がします。よその国に行き、そこの王子として育てられたのです。

青年になったエディプスが旅に出たところ、非常に傲慢な老人と争いになります。怒ったエディプスは、その老人を殺してしまいます。(いうまでもなく、この老人がエディプスの父親です。)

旅を続けるエディプスは、ある国に着きます。そこでは、旅に出ていた王様がかえって来ない間に、スフィンクスという化け物が、自分の出した「なぞなぞ」に答えられない人たちを殺していました。「朝は4本足、昼は2本足、夜は3本足の動物は何か?」という、現代でも有名な、なぞなぞです。答えは、人間ですね。赤ちゃんのときは、ハイハイするので4本足、大きくなると普通に歩いて二本足、老人になると杖をつくので3本足というわけです。エディプスになぞなぞを解かれたスフィンクスは、恥ずかしさのあまり死んでしまったそうです。

この辺の、恥を知る潔さ?は見習いたいものです!スフィンクスの謎を解いたエディプスは、その国に残されていた王妃と結婚し、その国を治めることになります。言うまでもなく、この王妃が、エディプスの母親ですね。

その後しばらくすると、国に疫病が流行りだします。そこで原因を占ってもらうと、国の中に父を殺し、母と結婚した者が居るために、疫病が生じているということが分かります。エディプスは、そのような不届き者を絶対に見つけてやると、息巻きます。話を聞いたエディプスの妻(母親でもあります)は、思い当たることがあり、そのような調査は絶対にやめるように強く言うんですが、エディプスは断固として、調査の手をゆるめません。そして、自分と妻と国を破滅させる、悲劇に向かって突き進んでいくわけです。

 

弁護士の仕事では、ギリシャ悲劇ほどのドラマはなかなか起こりません。ただ、似たような悩みは生じるのです。弁護士の仕事でとても難しいところは、一方当事者である依頼者からの情報だけで、何が事実かを判断し、行動せざるを得ないところなんです。意図的かどうかは別にして、自分にとって都合の悪い情報を隠す人は相当数います。しかし、お客様を露骨に疑うわけにはいきません。そもそも、弁護士としても、知らないほうが良いことは、当然あるのです。

明らかに嘘をついているなと分かる場合でなければ、事件を引き受けます。その後、どうにも怪しい気もするけれど、はっきりしないという場合も出てくるんですね。こういった場合、どこまで事実を追及するのかは、弁護士によって違うでしょう。エディプスのようにとことん依頼者を問い詰めて、全てを明らかにしないと気が済まない弁護士もいそうです。相手を陥れているような場合は、当然そこまですべきです。

その一方、隠そうとしているプライバシーがらみのことにまで、どこまで切り込んでいくべきなのか、弁護士としてかなり悩ましいところなのです。

 

弁護士より一言

前回、軽い下ネタを書いたところ、多くの方(男性だけですけど。。。)から、「思わず笑ってしまいました!」と、応援のお言葉を頂きました。そこで、今回も懲りずにばかばかしい話を。エディプスに対して、スフィンクスは、もう一つなぞなぞを用意していたそうです。「朝は4本足、昼は3本足、夜は2本足の動物は何か?」分かりますか?

答えは、「男」だそうです。「いい加減に下ネタはやめろ!」と怒られても嫌だし、「お前は昼から2本足だろう。」と悪口言われるのも嫌です。顧問先が減るといけないので、解説はやめておこうと思ったのでした。(2017年3月1日発行 第192号)

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