弁護士の新約聖書

第200号 弁護士の新約聖書

キリスト教徒ではないけれど、聖書はかなり好きです。「悪魔も好き勝手に聖書を引用する。」そうですから、私も好きな言葉をあげていきます。 一番好きなのは、神に対する祈りの言葉です。キリス トは、「私たちを誘惑にあわせないで下さい」と祈るように教えたのです。「誘惑に勝てるように」ではなくて、「誘惑にあわせないで」と、祈るわけです。 私は、「人が誘惑に勝てる!」と考えること自体、思い上がりだと信じています。

 

弁護士をしていると、 様々な問題を起こした方と話すことがあります。会社のお金を横領したとか、不倫で家庭を壊したような人たちですね。まあ、これはあんまりだ、欠陥人間じゃないかと思う人も、中にはいます。その一方、「こんな誘惑にあったら、自分でも道を踏み外したかもしれないな。」と思う場合がとても多いのも事実です。

「盗人にも三分の理」なんて言葉がありますが、横領事件の場合、会社の管理体制に非常に大きな問題がある場合がほとんどだと感じています。常識的には信じられないのですが、取ってくれと言わんばかりに、お金や物が放置されているんですね。人間は弱いものですから、初めは「ちょっとだけ借りておこう。。。」なんて自分に言い訳して、わずかな額を横領します。それがバレないと、だんだんと横領の金額も大きくなり、最後には警察のお世話になるのです。本人が悪いのはその通りですが、会社の方もそんな「誘惑」に社員をさらさないでくれたら、犯罪者を作らないで済んだのではないかとの気持ちも、抑えられないのです。

わ、私の場合、子供のころから「誘惑にあわせないで ください。」と祈ってました。おかげさまで、横領はもちろん、不倫の誘惑も全くなかったのです。少し祈りすぎたかもしれないと、寂しい気も。(おいおい!)

 

聖書の言葉に戻ります。罪を犯した女に石を投げて攻撃する人たちを止めた、キリストの言葉も好きですね。「あなた方のうち、罪を犯したことのないものが、 まず石を投げなさい。」  これを聞いた人たちは、誰一人として石を投げなかったそうです。ご立派!

裁判員裁判が始まってから、非常に刑が重くなってき たように思えます。これまでが軽すぎたのであり、やむを得ない面があることも理解しています。それでも私は、裁判員の人たちに向かって、「あなた方のうちで、罪を絶対に犯さないといえる人だけ、被告人に石 を投げてください!」と言いたくなるのです。

最後にもう一つ。「あなた方が私を選ぶのではない。 私があなた方を選ぶのだ。」というキリストの言葉もとても好きでした。散々悪いことをしておきながら、「主よ、主よ!」と泣きついてくるような人を、キリ ストは相手にしないということです。正しい行いをし た人を、キリストの方で選ぶのだという言葉です。

 

20年ほど前には、弁護士は人数も少なく、仕事は幾らでもありました。まさに弁護士の方で、お客様を選り好みしていたのです。「何と言って依頼を断るかを考えていた。」なんていう弁護士も沢山いました。 時代が変わり、弁護士の人数も増えてきました。いまや、「弁護士が顧客を選ぶのではない。顧客が弁護士を選ぶのだ。」という時代です。これは、多くのお客様にとって、とても良いことだと思っています。 その一方、仕事がない中で、怪しい顧客の不正な仕事に手を出す弁護士も増えています。今こそ弁護士も、 以前とは違う意味で、「お客様が弁護士を選ぶのではない。弁護士がお客様を選ぶのだ。不正な仕事は断じて受けない!」という矜持を持つべきと思うのです。

弁護士より一言

「もう、死にたい。」と、高校生の娘に言われました。 大変なことだと思い、詳しい話を聞いてみたんです。 娘によると、「3日だけ死にたい。」そうです。キリストかよ!  3日過ぎると、試験が終わるとのことでした。あ、あほか。試験が終わって、生き返った後どうするんだよ。

そういえば、中学生になったころ娘 は、早く3年生になりたいと言ってました。風邪で、 3年生だけ学級閉鎖になっていたのが、羨ましかった そうです。親として恥ずかしくて、3日だけ死にたい。(2017年7月1日発行)

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