弁護士の三楽

弁護士の三楽

メーテルリンクに「青い鳥」ってありますよね。幸福の青い鳥を探して、チルチルとミチルの兄妹が旅をする話です。幸福を見つけるのに、どこを探すのかが問題になりますが、2人がまず訪問したのは「思い出の国」です。さすがいいとこついてます。

 

思い出の国には、死んだ祖父母など、懐かしい人達がいました。後ろ向きかもしれませんが、確かに幸福は、思い出の中にあるような気もします。ところが、思い出の国で捕まえた青い鳥は、この国を出たら死んでしまう。なんかすごく深い話です!私が一番印象に残ったのは、ずばり「幸福の国」での「青い鳥」探しです。幸福の国では、でっぷりと太った気のいい人たちが沢山住んでいて、チルチルとミチルに沢山の「幸福」について教えます。たとえば、「お腹が一杯なのに食べる幸福」とか「欲しくもないものを買う幸福」みたいなものです。思わず笑ってしまう一方、あまりに自分の事を言われているようで、怖くなったのでした。ううう。。。

 

幸福とと言いますと、孟子大先生の「三楽」が有名です。君子には、3つの楽しみがあるそうですが、何か分かりますか? 「飲む・打つ・買う」じゃないだろうし、「お腹が一杯なのに食べること」でもないだろうなと推理はできます。(あ、あほか!)

 

1つ目は、両親と兄弟が元気でいることだそうです。なぜ、妻子じゃなくて、両親と兄弟なのかはわかりませんが、家族が健康で、仲良く暮らすのは、何よりの幸せですね。文句のつけようがありません。

 

2つ目は、天にも人にも恥じるような行いをしないことだそうです。漫画を買った費用や、家族で「ホテル三日月」に遊びに行った費用を、政治資金から出しちゃいけないんですね。なんて、他人のことをあげつらう前に、わ、私も身を慎みます。

 

そして3つ目の楽しみですが、「才能ある若者を集めて、教育すること」だそうです。子供の頃、これを読んだときは、正直なんのことかよく分かりませんでした。しかし、50歳をいくつも超えた今になると、とてもよく分かります。優秀な若者に自分の知識や経験を教えて、砂に水が染み込むように成長する姿を見るのは、本当に楽しいことです!

 

孟子先生は、「君子の三楽」についてとても良いことを言っていますが、楽しみを言うたびに、「しかして天下に王たるは、与り存せぬなり」と何度も繰り返します。王様になるのは、君子の楽しみではないと、しつこいんです。本当は孟子先生、天下の王に成りたくてしょうがなかったのではなんて批判されています。

 

ということで、「弁護士の三楽」です。
まずは、妻子を始め、家族みんなが元気で楽しく暮らしていくのが一楽です!特に異論はないでしょう。
2番目の楽しみは、お客様がうちの事務所を信頼して事件を依頼し、その結果、安心し満足してくれることです。まさに、弁護士冥利に尽きる楽しみです。
そして、3番目の楽しみですが、もちろん「お腹が一杯なのに食べること」ではありません。優秀な若手弁護士を育てることです! もっとも最近の若手は、法律家としてはとても優秀で、私に教えられることはないんです。(な、情けない。)ただ一つのことだけを、若手に教え続けています。「お客様の立場にたって、お客様の為に活動する弁護士になって下さい!」

 

最後に孟子大先生に倣って、カッコよく言わせてもらいましょう。「弁護士に三楽あり。しかして、お腹が一杯なのに食べることは与り存せぬなり!」

弁護士より一言

小学5年生の息子が、泊まりがけで学校の遠足に行くんだと、はしゃいでいました。夕食はバイキングだそうで、「元祖!手作り唐揚げ」「大人気♪屋台風!鉄板塩焼きそば」といった魅力的なメニューが沢山あるんだと、メニュー表を見せてくれました。あれ、こんなこと前にもあったなと思い、去年の今頃のニュースレターを見てみたら、やはり泊まりがけの遠足で、全く同じように息子がはしゃいでいたことが書いてありました。砂に水が染み込むように成長する姿を見たいのに、1年たって何も変わっていない! 少し残念なような、それでいてホッとしたような。。。。
                             (2016年6月16日発行 第175号)

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