ただの弁護士じゃねえか、こんなもん

第197号 ただの弁護士じゃねえか、こんなもん

連続テレビ小説で、「ひよっこ」ってやってますよね。私が生まれた50数年前に、集団就職で東京に出てきた女性たちの話です。主題歌をサザンの桑田佳祐が歌っているんですが、それに対するNHK会長のコメントを読みました。簡単に言うと、メロディーはいいし、何となく雰囲気的に素晴らしいが、歌詞は何を言っているのかわからないそうです。

「愛の言葉をリル 熱い吐息をもう一度 恋はベルベット いかしたシルエット」なんて、なんのこったか、私も分からない。でも、とっても魅力的です!そもそも桑田佳祐の歌詞は、40年前から何を言ってるか分からなかった。それでも多くの人を引き付けたのです。「愛に舞う裸の報道は 情事すべき我が身に重要で 終わりなき夜に咲く」なんて歌詞、どんなに頑張って、理詰めで考えても、分かるわけない。

 

「ハイデッガー哲学の翻訳かよ!」と言いたくなり ますが、何かとてもいい感じに聞こえるんです。考えてみますと、こういう理詰めで考えると、そもそも何を言っているかよく分からないが、とてもよく思えるってこと、弁護士の仕事でもあるんです。お客様でも、理屈は良く分かるし、言うことはもっともだと思うけれども、今一つ共感できない人はい ます。(す、すみません。。。)その一方、文章に起こすとメチャクチャな内容になりますが、「ライブ」で 聞いていると、とても心を動かされる人もいます。これは弁護士としても同じことが言えます。法的にはかなりメチャクチャな内容でも、お客様に強く訴えかけることができる弁護士はいるのです。

「ただの歌詞じゃねえか、こんなもん」は、言うまでもなく、桑田佳祐の本ですね。この中で桑田大先生は、歌謡曲の魅力について語っています。「歌謡曲 の何が好きって、あれは水商売っぽくてうさん臭そうだったじゃない。」だそうです。本の中では、ジャイアント馬場の「脳天カラテチョップ」が例に出されてましたが、プロレスの「必殺技」にもあるような「うさん臭さ」が魅力的です。「うさん臭さ」がなくなるとともに、歌謡曲が詰まらなくなってきているというのが、桑田佳祐の主張です。私も共感できます!

 

「うさん臭い職業」といえば、ほんの数十年前までは、新聞記者や弁護士が代表だったはずです。新聞記者なんて、大衆の嫉妬心に迎合して、人のプライバシーを暴く「うさん臭い」仕事の代表だったのに、いつの間にか「正義の味方」みたいになってますよね。新聞についても、「うさん臭さ」がなくなるとともに、「魅力」も減ってきたように思えます。弁護士も、似たようなものです。もともと弁護士は「代言人」といわれてました。「嘘八百の三百代言」なんて言葉もありましたが、弁護士の仕事は、依頼者のために口先一つで、相手を言いくるめるような「うさん臭い」仕事だったはずです。それがいつの間にか、理詰めで勝負する、「エリート」の仕事になってきたのです。もっとも、今でもこういう、良くも悪くも「うさん臭い」弁護士は存在してます。元検事で、暴力団のために働いている弁護士なんています。「あの先生なら、どんな事件を起こしても、すぐに釈放してもらえる」なんて、「うさん臭い」評判を聞いたことがあります。なんか訳の分からない神通力をもっているような評判を勝ち取っている弁護士もいますよね。私みたいに、基本的に理詰めで考える弁護士からすると、どうしても批判的な目で見てしまいます。しかし、そうい う弁護士たちがある意味「魅力的」なのも間違いないと思うのです。「何言っているか理詰めでは分からなくても、魅力的な弁護士はいるんだ。」「うさん臭さというのも、人を引き付ける魅力なんだ。」ということは、忘れないでいたいのです。

 

弁護士より一言

高校生になった娘に、「一緒に映画見に行こう!」と誘いました。少し前までは、喜んでついてきたんですが、「えー、パパとぉ。。。」なんて、とてもテンションが低い。そこで、「ポップコーン食べながら映画を観よう!」といったら、急に行く気になったんです。ぽ、ポップコーンで釣られるなよ! 一緒に「名探偵コナン」を見たんですが、「パパはポップコーンいっぱい食べて、あとはずっと寝てただけじゃん!」と言われちゃいました。ううう。。。

(2017年5月16日発行)

 

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