大往生したけりゃ弁護士とかかわるな

第241号 大往生したけりゃ弁護士とかかわるな

「大往生したけりゃ医療とかかわるな」は、何年か前のベストセラーです。自然死のすすめという副題がついているとおり、医療とかかわらずに大往生を遂げることを勧めています。著者によると、間違って医療に頼ってしまうと、死にたくても死なせて貰えないそうです。身体中に管を付けられて、食べることも動くこともできない中、苦しみながら生き続けるんですね。憎い相手に、「楽に死ねると思うなよ!」なんていうことがありますが、日本の医療にかかわると、死ねずに最後の最後まで拷問にあうように苦しむことになるぞと、本の中で忠告してくれてます。「かなり一方的な意見では?」と思う一方、確かにこういう問題があることも事実なんだろうなと思ったのです。

 

もっとも考えてみると、かかわるとろくなことがないという点では、医療も弁護士も同じような気がしてきました。「弁護士に係わった結果かえって大問題に発展した」なんて、結構よくある話です。少し前に、他人と喧嘩して、大怪我をさせた人の話を聞きました。当然のことですが、怪我をした方は大変怒りまして、相場よりはかなり高い賠償金を請求してきたんです。これだけ払えば、警察には言わないからということです。私が加害者から相談されていたら、「気持ちよく払った方が良いよ。」とアドバイスしてましたね。その人も、払っちゃおうと思ったんですが、つい魔が差して、弁護士に相談してしまったんです。その弁護士は張り切ってしまい、相手方と交渉して、相当値切ろうとしたんですね。憤慨した相手が警察に告訴して、加害者の人は逮捕されてしまいました。ちなみにその弁護士は、加害者から苦情をいわれて、「私は刑事事件とは無関係ですから。」と言ったという落ちまでついていました。もっともこれなんかは、たまたまその弁護士の大局観が欠けていた話でしょう。

 

しかし、多くの弁護士が当然のように行っている業務にも、本当にそれが依頼者のためになっているのか感じるものはあります。会社がどうにもいかなくなると、破産手続きをとることになりますね。これなど会社のお葬式のようなものです。それに対して、「どうにかなるかもしれない」という場合は、会社を再生させる手続きをとる場合があります。民事再生とか会社更生という手続きです。ただこれは、本来は元気な会社だが、何か一つ大きな問題(トップの使い込みみたいな)があって潰れそうになっているときには役に立ちます。これはあたかも、現代の医療が、「この問題を治せば、後は自力で復活できる。」という場合に、その部分を治すために威力を発揮できるのと同じなんです。それなのに、老いや生活習慣からくる病気に対しても、同じような「治療」を行ってしまうから、死ぬに死ねずに拷問を受けるようなことになってしまう。破産企業の再生も、根本的にダメな会社を再生させようとすると、ちっともうまくいかずに、関係者がみんな苦しむことになります。弁護士に頼まずに、会社を終わらせておいた方が、みんな幸せだったと思える場合がかなりありそうです。

 

個人労働事件などでも、弁護士と関わらない方が良いのではと感じることはよくありますね。「不当な扱いを受けた」ということで、従業員に勧めて、裁判など起こさせる弁護士は相当数います。誰が見ても不当な扱いで、そこさえ対処できれば自力で回復出来る人ならそれで良いと思います。

 

しかし、多くの場合はそうは思えないんです。自分自身の力を向上させる機会を逃し、わずかなお金と引き換えに、人としての信用を無くすのに、弁護士が加担しているように感じる場合もあります。かかわって良かったと言われる弁護士になれるように頑張ります!

 

弁護士より一言

このニュースレターも、毎月2回発行で、丸々10年続けて参りました。発行当時3歳だった息子も、今では中学生なったと、感無量です。これだけ続けてこれたのも、励ましのコメントを送ってくれた、多くの方々のお陰と、心から感謝しております。ここまで来たので、あとは行けるところまで行ってみようとの気持ちでいます。今後とも、末永くお願い申し上げます。

          (2019年3月16日 大山滋郎)

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