弁護士のすることに間違いなし
第194号 弁護士のすることに間違いなし
ニュースレターも、本日から9年目に入りました。 相変わらずバカバカしい内容ですが、よろしくお願いいたします。
本日は、アンデルセン童話です。 アンデルセンは、子供のころからあまり好きじゃなかったんです。マッチ売りの少女とか人魚姫など、 感動の押し売りみたいな感じが嫌でしたね。(ひ、捻 くれてるなあ。。。)そんな中、ただ一つ好きだったアンデルセン童話が、「おじいさんのすることに間違いなし」です。おじいさんが馬を売りに行く話です。 売ったお金で、何か良いものを買ってくるように、 おばあさんから頼まれているんですね。おじいさんは、馬を次々に別のものに交換していきます。馬から牛、牛から羊、羊からガチョウ、ガチョウからメンドリ、メンドリから腐ったリンゴへと交換して、 家に戻っていくのです。そのことを聞いた人から、「それじゃあ奥さん怒るでしょう?」と心配されても、「うちの妻はいつでも『おじいさんのすることに間違いなし』といってくれるよ!」と自信たっぷり です。そこで、本当にそんなことがあるのか、確かめることになります。奥さんは、おじいさんが新しいものに交換しる話をするたびに、本当に良いことをしたとほめてくれるんですね。牛に交換したと聞いたら、「ミルクが飲めるよ!」、メンドリに交換したと聞けば、「卵が食べられる!」みたいな感じです。 最後に、腐ったリンゴに交換したと聞いたときも、(いま一つ理屈は分からなかったんですけど)、「本当に、おじいさんのすることに間違いはないねえ!」 と喜んでくれたというお話です。この夫婦、オレオ レ詐欺にでも引っかかるんじゃないかと心配になり ますね。その一方、自分がしたことを常に肯定してもらえるおじいさんは、とても幸せ者だと感じのです。
弁護士の場合も、お客様に満足してもらえるかどうか、いつもヒヤヒヤしているところはあります。裁判でも交渉でも、本当に自分のやり方でよかったのか、 結構悩むんですね。そんなときに依頼者から、「弁護士のすることに間違いなし」と言ってもらえると、本当に嬉しいですし、もっともっと頑張らねばと思えて くるのです。そもそも、お客様の満足度と、弁護士の 仕事の成果とは、あまり相関関係がないことに気づいてきたのです。刑事弁護で、結果的に刑務所に入ることになっても、「本当に有難うございました。お陰様で、安心して裁判に臨めました。」と感謝されることはよくあります。
その一方、かなり良い条件で和解で きたときも、「もっと良い結果になったのではない か?」みたいに言われることもあるのです。こちらも人間ができていませんから、頑張ってやったことに対 して色々と言われますと、「やる気」が急速にしぼん でいくのです。(おいおい!)「おじいさんのすること に間違いなし」と言ってくれるお客様の方が、長い目で見たときに絶対に得をしているように思えます。 しかし考えてみますと、これって逆の立場でも言えそ うです。顧問先の方達から、「こういうビジネスを考えているが、法的に問題ないだろうか?」みたいな質問を受けることはよくあります。法律を勉強している人は、後ろ向きな人が多いですから(わ、私も人のこと言えません。)リスクの方にどうしても目が行き、 否定的なことを言ってしまいます。でも、私が依頼者 なら、否定的なことばかり言う人とは、一緒に仕事し たくないです。大きなリスクの指摘は必要としても、「お客様のすることに間違いなし!」といえる弁護士 になろうと思うのでした。
弁護士より一言
4月から高校生になる次女に、「おじいさんのすることに間違いなし」の話をしました。「これさえできれば、とってもいい人と結婚できるし、結婚生活も上 手くいくよ。」と、親心で教えてあげたのです。 すると「夫が銀行強盗したり、覚せい剤使ったり、ギャンブルでお金を使っちゃったりしたら『間違いな し』なんて言えないでしょ。」なんて反論します。「そもそも、そんなのとなんで結婚するんだよ!!」とむきになって言い返すと、娘に言われちゃいました。「分かってる(笑)パパのいうことに間違いなしね!」 なんとなく言い負かされた気がしたのでした。
(2017年4月1日発行 第194号)