AIの弁護士
第202号 AIの弁護士
本を1冊読む間に、マンガを10冊読んでます。毎日暑くてやる気が出ないので、好きなマンガを紹介しま しょう。
「AI(アイ)の遺電子」という、人間よりはるかに優れた人工知能(AI)が、人間たちをコントロールしている世界の話ですね。この世界には、人間の他に、ヒューマノイドとロボットがいます。ヒューマノイドは、人間の脳を模したAIを有しており、能力的に人間と同じです。だからこそ、人間と同じ権利を認められているんです。
それに対してロボットは、人間よりはるかに優れた人工知能(AI)を装備してます。そんなロボットには、何の権利もなく、単なる「道具」として扱われているんですね。わ、私だって、自分よりはるかに優れた人工知能を持つものがいたら、面白くないです。。。
そんな世界ですが、人間は現代と同じように生活しています。本当は人間が会社で働く必要なんてありません。優秀なAIがやった方が、よほどうまくいきます。そんな中でも人間は、どちらが優秀かと競争しながら生きています。同じ「人間」として、悲しくなります。そもそも、生きるために働く必要もないのです。「特区」での生活を申請すれば、働かなくても生きていけます。ただ、そうなってくると、自分の生存価値、つまり自分は何のために生きているのかという問題に直面してしまうんです。つ、辛そうです。
そんな世界で、みんな悩みながら生きています。あらゆる領域で、AIの方が優れているんですから。。。 マンガの中では、様々な実例が取り上げられます。 将棋や囲碁では、既にAIに抜き去られていますよね。人間のトップは、AIに100回対局すれば100回負けるのが現状です。そんな中で、棋士の存在価値は何なのか? 人間よりもよほど正確に診察できて、手術などの対応もはるかに優れたAIの医師がいる世界で、お医者さんの価値は何なのか? これは、弁護士にとっても、本当に深刻な問題に思えてきます。
弁護士といいますか、法律家の仕事は、様々な証拠から事実を認定するとともに、その事実を法律に当てはめて結論を出します。しかし、こういう作業 において、人間の弁護士がAIに勝てるとはとてもじゃないけど思えないのです。弁護士の「経験知」など、 あっという間にAIに取り込まれそうですね。
それなら、弁護士のお客様対応はどうかと考えてみま した。確かに、安心してもらい、信頼してもらうのは、 弁護士の大きな仕事です。しかしこれも、「人はどういうときに相手を信頼し、安心するのか?」という命題を解いていけば、AIの方がはるかに優れた結果を残せそうです。マンガの中では、夫婦などパートナーとしても、人間たちよりよほど優秀なロボットが出てきていました。
いつも妻から、「私が話しているのに、 どうして本から目を離さないの!」なんて怒られている私より、AIのロボットは100倍優秀でしょう。 せめて私の場合、このニュースレターでは、自分の存在価値を示したいと思ったのです。しかし、「AIの遺電子」の世界では、「芸術」においても、AIの方が人間よりはるかに優れています。小説家が、自分の作風で小説を書くようにAIに依頼すると、とても面白い小説があっという間に出来上がってきます。それを読んだ人間たちは、「あなたらしさの出た、とても良い作品を書きましたね!」なんて誉めてくれるんで す。
このニュースレターもAIに依頼すると、「あ、 アホか!」「ううう。。。」なんて使いながら、さらに面白いものになるんでしょうね。ううう。。。
弁護士より一言
高校生の娘が言いました。「どうして子供の頃から、 ピアノだとか勉強だとか、厳しくやらせてこなかっ たの? パパとママが優しすぎるから、こんなにの ん気な家族になっちゃったんだよ!
妻が、「これまでさんざんママ言ってきたでしょ う?!」と反論すると、「それじゃ、全然足りないよ。」 と言い返します。あ、アホか。
「もう嫌だ。高性能AIを備えた、できの良い娘が欲 しい!」と、心底思ったのでした。ううう。。。
(2017年8月1日発行)