弁護士の二つ名
第240号 弁護士の二つ名
「二つ名」ってカッコ良いなと、子供の頃から憧れていました。私が最初に知った二つ名は、アーサー王に仕えた「湖畔の騎士」ことランスロットです。何が「湖畔」なのか分からないんですが、とてもカッコ良いということだけは理解できたのです。
中国の歴史では、後漢の光武帝に仕えた大将軍 馮異(ふうい)の話なんか、とても好きでした。他の将軍たちが、自分の手柄を声高に言い募るなか、馮異将軍だけはただ一人、大きな樹の下で悠然としていたというんですね。そこでついた二つ名が、「大樹将軍」。私が同じことをすれば、「昼寝将軍」とか「サボリ将軍」と言われそうですけど。。。
将軍といった戦争関係の人には、とても良い二つ名が多い気がします。「砂漠のキツネ」といえば、ロンメル将軍。「疾風ウォルフ」といえば、ミッタ―マイヤー提督です。一言でその人の業績や特徴を言いあらわす「二つ名」は、本当に面白いなと思います。
日本でも、戦国時代など、二つ名が多いでしょう。
織田信長の「第六天魔王」なんて有名です。何が「第六」なのか、よく分からないんですけど、理屈抜きで殺されそうな迫力がありますね。「甲斐の虎・武田信玄」と「越後の龍・上杉謙信」みたいに、セットでカッコいいのもあります。美濃の蝮・斉藤道三とか、独眼竜・伊達政宗とか、有名どころは沢山あります。私も子供の頃、頑張って暗記したものです。二つ名がある方が、多くの人に覚えて貰い易くなるんです。そんな訳で、カッコ良い実例を参考に、うちの事務所の「二つ名」を考えてみたいのです!
私の研究結果?では、「色」を付けると二つ名はカッコ良くなると判明しています。私と同年代の人なら、ガンダム知ってますよね? 「赤い彗星」みたいな二つ名、本当にカッコ良かったんです。子供の頃に読んだ、ロビンフットの物語に出てくる、主人公のライバル「白い手のギルバート」は、意味は分かりませんでしたが、(いまだにわかりません。)なんとなくタダモノではない感じがしました。水滸伝に出てくる「黒旋風の李逵(こくせんぷうのりき)」なんていうのも、迫力がありました。「色」を付けるだけで、二つ名が3割増しでカッコ良くなる。そこで、うちの事務所ですが、「黒い横浜」なんてどうでしょう? 「黒いオルフェ」みたいで良いのでは? あ、アホか。。。
「白の魔術師事務所」なんて言うのも考えました。冤罪の人を無罪(白)にするということなんですが、伝わりますでしょうか。「黒を白にする事務所」なんて言われそうで心配です。「赤い彗星」みたいな二つ名が欲しいんですけど、「赤いウソの大山」とか言われたらどうしようと、心配ばかりしてしまいます。
二つ名に、動物の名前を入れるのもよくあります。先ほど挙げた、「砂漠のキツネ」みたいな感じです。「リチャード獅子心王」なんて、本当にカッコ良い。中国にも、動物を入れた二つ名には、良いものがあります。諸葛亮孔明の、眠れる龍ということで「臥龍」なんて有名ですね。ひとたび目覚めれば、雲に乗り空を駆け巡るイメージがあります。もっとも、うちの事務所の二つ名が、「臥龍」でしたら、「起きてからお願いします!」と、依頼者に言われてしまいそうです。そもそも、動物の二つ名でも、良いものだけではないのです。生類憐みの令を出した、徳川五代将軍の「犬公方」なんて、恥ずかしいものです。うちの事務所も、強い方に尾をふる「犬事務所」とか、依頼者の言う通りにただ繰り返す「オウム弁護士」などと言われないように気を付けます。
私の一番好きな二つ名は、明治の元勲・木戸孝允の「逃げの小五郎」です。不利なときにはまず逃げる!依頼者にも、闘うべきところと逃げるところを適切にアドバイスするのも、弁護士の役割だと信じています。うちの事務所も「逃げの横浜パートナー」と二つ名が付くように頑張ります。。。
弁護士より一言
妻が、うちの事務所のホームページを見た知人から言われたそうです。「お父様、まだお元気に働いているんですね!」 私の写真を見て、妻の父親だと勘違いしたんです。し、失礼な! 「永遠の美少年弁護士」みたいな、カッコ良い?二つ名を付けられるようになって、見返してやるぞと心に誓ったのでした。 (2019年3月1日 大山滋郎)