弁護士滋郎のマシマシ

第299号 弁護士滋郎のマシマシ

ラーメン二郎ってありますよね。私は食べたことないのですが、モヤシや麺が山ほど入っているラーメンで、凄い人気です。その一方、注文の仕方に独特のルールがあるということで、初めての人は行くのをためらってしまうのです。

 

昔読んだ任侠の本に、渡世人の世界には独特の口上のルールがあって、それを間違えると大変なことになると書いてあったのを思い出しました。余所の一家を訪問するときには、「ご当家、軒先の仁義、失礼ですがお控えなすって・・・」 みたいに始めるそうです。その後、どちらが先に自己紹介するかを譲り合ってから、「早速、お控え下すって有難う御座います。」という過去と自己紹介を始めます。「手前、生国はどこそこ、身の片親と発しますは何々一家のだれそれ、姓は大山、名は滋郎・・・」みたいに続けていくんです。

 

しかし考えてみますと、こういう挨拶の決まりみたいなの、弁護士の世界でもあります。弁護士同士の自己紹介では、まず初めに自分が司法修習の第何期かを言うことになっているんです。渡世人の世界と同じで、弁護士業も「閉じた特殊社会」ですから、こういったルールが生まれるのかもしれません。それから、弁護士が独立すると、同業者に挨拶状を出すのですが、そのときの決まり文句が「何々先生のご指導を頂き、このたび先生のお許しを得て」みたいな感じです。これなんか、任侠の口上の「身の片親と発しますは・・・」と同じノリのような気がします。(ほんとかよ!) とまあこういう風に、挨拶の文言もルール化されているということです。

 

ラーメン二郎の話に戻りますと、もちろんラーメンを食べるのに、こんな自己紹介は必要ありません。その一方、二郎では特殊用語?を知らないと、ちゃんとした注文もできないそうなのです。「ヤサイ」「にんにく」「アブラ」「カラメ」というのが、まずは押さえておくべき言葉です。これらのアイテムの増減を、お願いできるのだそうですが、そもそも言葉の意味するところが分からない。「ヤサイ」と「にんにく」はともかく、「アブラ」と「カラメ」なんて、考えても分かりません。答えは、豚の背アブラと、スープのタレだそうです。これらの量を増やすときには「マシ」、さらに増やすときには「マシマシ」と言わないといけない。さらに難しいのが、これを言うタイミングです。お店に入って、最初に「どうします?」と聞かれたときに、「マシマシ」なんて答えちゃダメです。この段階では、麺の硬さについて聞かれているので、カタメとかバリカタみたいに答えます。ここで間違えると、恥をかいてしまうのです。でも、こういうのって、裁判実務でもあります。

 

例えば刑事裁判で、検察官が証拠申請をしてきた場合です。裁判官が弁護士に、「証拠についてのご意見は?」なんて聞いてきます。この段階では、まだ証拠の内容について意見しちゃいけないんです。「書証は同意。その他はしかるべく」みたいに答えます。こんなの、裁判を傍聴している一般人は、何のことだか分からないでしょう。初めて訪問するには敷居が高いという点で、ラーメン二郎と法律事務所は似ています。しかし、二郎の方は一度来たお客様が熱烈なファンになるようです。だからこそ、いつでも店の前に行列ができているのでしょう。そこで、ラーメン二郎の人気の秘密を、うちの事務所でも取入れたいと考えたのです。まずは形から入るということで、事務所名を「弁護士滋郎法律事務所」と変更します。依頼者への報告スタイルも、要望により増減できるようにします。例えば、面会と電話連絡を増やすときは、「メンマシ。テレマシマシ!」なんて注文が入れば、うちも行列のできる法律事務所になれるはずです!

 

弁護士より一言

自宅の近所にラーメン二郎があって、いつも行列ができています。私も一度は行ってみたいのですが、なかなか勇気が出ません。高校生の息子も、ラーメン二郎には興味があるみたいですが、やはり一人で行くのは怖いようです。今度二人で行こうと、息子と何時までも作戦会議を続けていたら、「パパたち、どんだけ臆病なの!」と娘に呆れられたのです。ううう。。。                                                                                                               (2021年8月16日 大山滋郎)

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