シェイクスピアの名言

第380号 シェイクスピアの名言

新年おめでとうございます。

シェイクスピアの劇は支離滅裂としか思えないんですが、「名言」だけは本当にすごいのです。お正月気分で、私の好きな名言を挙げていきます。なお、全ての「名言」は記憶で書きますから、シェイクスピア全集なんかで確認して、「これは違う!」なんていうのは止めてください。事務所で若手に仕事をお願いするときに使用するのが、次のセリフです。「人が粗削りで作ると、神が仕上げをする」 こういうの、建築家の大先生なんかよくやると聞いたことがあります。さっさと、面白そうな建物のデッサンをしたら、あとは若手に丸投げすると、細部の設計や構造計算なんかをしてくれるんだそうです。若手の建築家が不満に思わないのか心配になります。もっともうちの事務所も、私がざっくりと「こんな感じで行こうか?」なんていうと、若手がしっかり対応してくれます。「神様が仕上げをしてくれた!」と喜んでいるのです。おいおい。

でも、こんな感じで仕事をお願いできる若手がいるのは本当にありがたいです。大きな声では言えませんが、勤務弁護士にかなりの汚れ仕事みたいなのをさせる弁護士もいるそうです。こういうのって、お互いにとって良くない関係になりそうですよね。

ということで、シェイクスピアの名言です。「毒を必要とするものも、毒を愛しはしない」 子供を暗殺するといった汚れ仕事を命じた王が、命じた相手に言った言葉です。言われた方は、反乱でも起こしたくなりますね。そういえば、コロナのときは、「不要不急な外出はするな」みたいに、とても制限が厳しかったですよね。そんなときには、次の名言が心に浮かびました。「どんなに貧しい乞食でも、人は不必要なモノを持っている。必要なモノしか持てないのは、人ではなく獣の生活だ」 不要不急な用事で街に出るのが楽しいのにと、とても残念に思ったのでした。裁判なんかのときに「これは勝てるだろう」と信じていたのに、負けることもあります。そういうときには次の名言です。「スズメ一羽落ちるにも神の御心がある」 落ちたスズメはたまったものではありませんが、神の御心だと思うしかないのです。ううう。

もっとも、依頼者には何と説明しようかと悩みます。「勇気の最上の部分は分別にある」なんて名言もありますが、「勇気を持って諦めましょう」なんて、とてもじゃないけど言えないのです。刑事事件の弁護で、法廷で被告人の反省を示すために質問することがあります。そんなときに、「これからは世のため人のために尽くします」なんて言う被告人がいるんですね。こういうときには、「あの者は誓い過ぎる」なんて名言を思い出します。誓い過ぎると、どうにも嘘っぽく思えてしまうのです。世のため人の為に尽くさないでよいので、もう二度と犯罪はしないで下さいと、心の中で祈るのです。

 

犯罪と言えば、こんな名言もあります。「人間を作ったのは神というが、神が作ったのは上半身だけ。下半身を作ったのは悪魔だ!」 うちの事務所では刑事事件を多数扱っていますが、痴漢事件や買春事件は、本当に沢山あります。そもそもこういう犯罪、法曹関係者でもよく起こるんですね。現在も、大阪の検察のトップが部下への性犯罪で裁判になっています。私が修習していたときの裁判所では、所長が痴漢して首になってました。児童買春で弁護士資格を無くした人なんて、本当に沢山います。わ、私は違いますよ。恋人間では、こんな名言もありました。「あなたに見つめられて私の心は二つに割れました。一つはあなたのもの、もう一つもあなたのもの」 私もせめて妻にはこういう風に言って欲しいのです。もっとも男性は、恋人ではなく母親に対しては、対応が厳しいそうです。息子に非難された母親が、「お前は私の心を引き裂いた」なんて言うと、息子は、「それなら悪い方を捨てて良いほうだけで生きてください」なんて答えます。さすがにこの言い方は酷いじゃないかと思うのでした。

 

弁護士より一言

息子は母親(私の妻)に朝起こしてもらったりしているくせに、生意気なことを言います。あまりに酷いと、妻は怒るとともに、「父親として注意してよ!」と言ってきます。しかし私も昔、「目覚まし時計は 母親みたいで心が通わず」なんて陽水を思い出しながら、母親に口答えしてました。息子に注意するより、今年90歳になる母親に、親孝行したいと思ったのでした。                                                                                                      (2025年1月6日  文責:大山 滋郎)

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